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日本語の起源

随分昔、「万葉集は古代朝鮮語で読むと意味が良く判る」と言う本が出た。筆者は朴さんと言う松江に住んでいた韓国人の方でした。その頃いくつか同じような内容の出版物が有りましたが、これに批判的な説も多くあり、いつの間にか消えてしまった。5年前に、英、露、ポーランド、日本語に堪能なアメリカ人、ロジャー・パルバース著「驚くべき日本語」と言う本が出てこれも読んでみた。日本語は世界共通語として優れていると書いているが、「成る程そういう見方もあるのか」と言う程度でこれについてもそれ以上の特段の感想は無かった。次にジャレッド・ダイアモンドの「文明崩壊」を読んで、文明がどのように滅びるのかを非常に興味深く読んだ。それはまさに、故郷の衰退と重なる部分が有ったからかもしれない。同じ頃、海部陽介氏の「日本人はどこから来たのか」を読んだ。これも日本人の成り立ちを考えるうえで興味深かった。そこでは、アフリカからでたサピエンスが、ユーラシア大陸の南北ルートで日本に入っている事実が述べられている。昨年口羽さんから頂いた「古事記の真実」と言う本を読んだ。これは「古事記は古代サンスクリット語で書かれたものだ」と言う事をかなり言語学的に綿密に検証したものだ。これにも「いい加減な説だ」との反論が多い。ばらばらに読んだこれ等がつながったのは福岡さんから勧められた「サピエンス全史」と、最近NHKEテレで放送しているジャレド・ダイアモンドの番組「人の秘密」による。サピエンス全史は現人類(サピエンス)の進化は、複雑な言葉が話せるようになったことと、神話の創造が人類の集団の進歩に繋がり、ネアンデルタール人などの他の人類を滅ぼし、現人類が生き残るだけでなく、地球上の生物の頂点に立った要因だと言っている。ジャレド・ダイアモンドは番組の中で、人類の集団はそれぞれに独特の言語を作り出したが、集団が交わる時、共通の新しい言語を生み出す(実例が沢山ある)と言っていた。以下は私の素人的考察なので笑い飛ばしていただいて構わないのだが、幾ばくかの真実も含んでいるのではないかと思えなくもない。

先ず、アフリカから出たサピエンスは、南ルートでインドを通過しアジア大陸の南を通って今の福建省あたりから日本に渡った集団がある。もっと南は琉球列島から北上したかもしれない。北の方はシベリアを通って北海道へ渡ってきた。1万年以上も前は日本列島は弓状になっていて南北で大陸と繋がっていた時期もある。もう一つは朝鮮半島から入っている集団もある。日本はユーラシア大陸(アジア)の最西端で、これ以上は西に進むことはできないからここで沢山の集団が交わる地域でもあった。(ここら辺はDNA鑑定で解析すればさらに詳しいことが今後判るかもしれない)集団が交わりあった日本大陸ではいろんな言葉が話されたであろうが、新しい共通語が出来ると言うのがジャレド・ダイアモンドの説で、それからすると今の日本語はその頃新しく生み出された言葉だろう。当然それまでの言葉も単語として残っているだろうから、南方系の古代サンスクリット語もあったろうし、古代朝鮮語も、あるいは中国大陸あたりで話された言葉も残っただろうと思われる。勿論、北ルートで来た人たちの古代英語圏の言葉も残ったかもしれない。言語学がもっと進めば将来そのあたりの解明が出来るかもしれないが、言葉にDNAが無いので、なかなか困難な作業かもしれない。いずれにしても、新しく生み出された言葉が現代の日本語に繋がっていることは大いにありうることだ。

ところで、新しい言葉はどんなものになるかを想像してみよう。我々もそうだが、言葉の違う人と話すとき、名詞を並べるのが一番わかりやすい。そこで、新しい言葉は名詞を先に並べて、その後に動詞、形容詞などが来る。そこで名詞を先に並べる文法が出来上がる。時制などの変化も出来るだけ単純ににするようになる。こう考えてみると「驚くべき日本語」で言っているように、日本語がもともと共通語として造られたのであれば当然にそのようになる。それに、名詞だけ並べると、その後に来る動詞はかなり想像できるので、明瞭に言わなくてもわかると言う効果もある。日本人が曖昧な態度をとる傾向があるのもこれに原因があるのかもしれない。

(本日は遅くなるので、続きはまた後日)

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コメント: 1
  • #1

    Henry Miura (土曜日, 17 2月 2018 15:54)

    なかなか面白い見解ですね。私も日本語の起源には興味があり、日本語関連の本は多少読んできました。貴兄の説にもうなづけるところが多いです!